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保育に欠ける⇨保育を必要とする

保育

お盆中の保育の就労証明の是非について、思ったよりたくさんの意見をいただきました。その中で、保育に欠ける、という表現をしたことを指摘されることが多く、気になったので自分なりに調べてみました。どうやら児童福祉法と保育所保育指針の中にある、保育に欠ける、という表記が、保育を必要とする、という表記が変わっており、それがとても重要な変更点だったようです。

まずは自分なりに、保育に欠ける、という表現の意味について、考えてみました。

”保育に欠ける”と”保育を必要とする”

保育に欠ける、という表現は、家庭での保育が難しい、という意味なのかな、と思います。仕事、学業、病気、介護など、保護者が何らかの理由によって、家庭で必要な保育をすることが難しい状況にある。これが保育に欠ける、という状況なのかなと。家庭での保育に欠ける⇨だから保育所での保育が必要である。これは腑に落ちる。

これに対して保育が必要、という表現。これに関して、調べてみると、”保護者が保育が必要だと思ったら、保育が必要である”という解釈がいくつかあった。拡大解釈、と思う。じゃないかな、と思う。

内閣府のHPの、保育を必要とする事由には

  • 就労(フルタイムのほか、【パートタイム、夜間、居宅内の労働など】)
  • 妊娠、出産
  • 保護者の疾病、障害
  • 同居又は長期入院等している親族の介護・看護
  • 災害復旧
  • 【求職活動(起業準備を含む)】
  • 【就学(職業訓練校等における職業訓練を含む)】
  • 【虐待やDVのおそれがあること】
  • 【育児休業取得中に、既に保育を利用している子どもがいて継続利用が必要であること】
  • その他、上記に類する状態として市町村が認める場合

とあります。

以上のことから「保護者が保育を必要としているから保育するべき」は間違っているんじゃないかなと思います。

誰がための保育か

そもそも、保護者が保育を必要としている、なんて理由が保育を必要とする事由になるわけがない。そんな理由でいいなら、保活なんてやる意味がない。「保護者もリフレッシュが必要だ!」とのたまう方もおられるが、それは別の、一時預かりサービスにどうぞ。保育所はあくまで、子どもの為の施設。保護者支援をするのは、保護者の置かれている環境=子どもの環境で、保護者の精神状態諸々が子どもにダイレクトに影響するからであり、断じて保護者が気分良く過ごす為ではありません。根底にあるのは子どもの最善の利益。保育所は集団生活、保護者と家庭でゆったりと関わることに比べ、負担に感じる子どももいます。「お父さん、お母さんは休みなのに、どうして一緒にお家で遊べないの?」と思う子どももいます。それを「保護者支援だから」と保育所に預けることを正当化しようとするのは、本当に子どもの最善の利益を考えられているのかな、と思う。また、保育所に入所していない保護者は、リフレッシュの際に、一時預かり事業を利用しています。これは、保育を必要とする事由に該当しないからです。保育を必要とする事由に、リフレッシュという項目がない以上、同じサービスを利用しているのに、片方は無料、片方は有料、という不平等なことになるのではないかなと思います。

まとめ

今回のことを調べて、保育士って本当に自分から仕事を増やしにいく人が多い業界だな、と実感しました。今回の解釈を調べている中で、とある著名な方が「今回の改定で保育を必要とする、という表現に変わった。これは保護者支援の為で、保護者が預けたいときに預けられるんだ!」みたいなことが書いてあって、おいおいまじかよ…と驚愕したのを覚えています。仕事だったり、今すぐに預けてゆっくりしないと不適切な関わりもしくは精神が参ってしまいます、って状況なら保育を必要とするのはわかります。でも単に、休みだけど保育園が開いているから預けよう、というのは”保育を必要とする”状況なんでしょうか?

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